〜世界を見据えて・・・〜吉田 修久スポーツサイエンス&パフォーマンスディレクターPart.1

サンロッカーズ渋谷と言えば終盤までプレーの質が落ちない事で有名だ。

そのサンロッカーズ渋谷の選手を支える吉田修久スポーツサイエンス&パフォーマンスディレクター。

元サンアントニオ・スパーズでストレングス&コンディショニングコーチとしてご活躍された経歴を持ち、世界を知る方です。

そんな吉田さんにサンロッカーズ渋谷の強さを支える土台、世界で戦うために何が必要かを語っていただきました。

 

吉田修久スポーツサイエンス&パフォーマンスディレクター インタビュー

写真提供:サンロッカーズ渋谷さま

※提供いただきました写真は2020-21シーズンまでに撮影されたものです。

ちくわ

今回、サンロッカーズ渋谷のスポーツサイエンス・パフォーマンスディレクターの吉田さんにお話を伺います。

よろしくお願い致します。

先ずスポーツサイエンス・パフォーマンスディレクターという名称について教えてください。中々馴染みがない名称なので気になっています。

 

吉田 

よろしくお願いします。

スポーツサイエンスというものは名前の如くサイエンスを使ってスポーツパフォーマンスを向上させるためのものです。

例えば様々なデータを取って定量的にデータに基づいたパフォーマンスや疲労度の評価をします。

そこからパフォーマンスにおける要素で筋力・パワー・スピード・可動域・各種持久力など何が足りないのか、なぜ足りていないのかというものを分析し、それを元にトレーニングプログラムや練習の内容に対して科学的根拠を用いてアプローチしていくといった仕事です。

いろいろな主観を入れず客観的な正しいデータの情報を分析して、重要なファクターを取り出して、そこをパフォーマンスや練習・トレーニンプログラム等に活かすという感じです。

 

 

ちくわ

ストレングス&コンディショニングコーチ(以下S&C)との違いは分析の部分になるんでしょうか。

 

吉田 

そうですね。

S&Cは実際にトレーニングを行い、コーチングをするので所謂コーチの役割になります。

スポーツサイエンスはデータを取って、それを分析して分析結果を使って、それをコーチたちにシェアをする。それにより効率的で効果の高い判断をすることをサポートします。

あとはもし一緒にS&Cがいれば情報を共有して実際にこういう状況だ、というやり取りができますよね。

例えば疲労感とかの数値を見て「こうした方がいいです」というアドバイスをしたりする事も可能になります。

 

ちくわ

非常に勉強になりました。

サンロッカーズ渋谷と言えば2020-21シーズンはタイムシェアが特徴で激しい守備が強みと思って試合を観させていただきました。

チーム的にはタイムシェアをして良い状態で選手を送り出すというのは理想だと思うのですが、選手全員のコンディショニングを整えるというのは非常に難しい所だと思っております。

コンディショニングというのをどのように考えておられるのかを聞かせてください。

 

吉田 

一番重要なポイントとしては、できるだけ選手をavailableな状態にする。

その為にも、いつでも全員が良いパフォーマンスができる状態を作っていかなければいけないというのは気を使っているところです。

実際タイムシェアをするためには人数が必要です。

逆に言うと途中怪我があったりで抜けたりして一人、二人でも欠けると、プレータイムがどうしても偏ってしまう。

そうなると今までより大きな負荷がかかります。

その負荷に身体が順応するのにも時間がかかりますし、バランスが一度崩れるとけっこう大変なんです。

チームとして選手に求められている事としては、“出ている間は100%でいこう“と話していてオールアウトに近い状態を求められています。

プレータイムがシェアできてるからこそできる部分もあって、それが崩れてしまうとしわ寄せがどんどんかかってきてしまう選手も出てきてしまいます。

そうなると自ずと怪我のリスクも上がっていきます。

そこはすごく気を使いますし、選手全員いい状態を作ってあげる必要があるのでチャレンジングです。

 

 

ちくわ

今シーズンでいうと#34 R・ケリー選手の左頬の骨折がありました。

おっしゃられた出場時間の偏りというのも出てきたかなと思うんですが、それでも勝率でいうと乗り越えたというような印象を持っています。

吉田さんのコンディショニングがすごく素晴らしかったのかなと感じました。

 

吉田 

いえいえ、ありがとうございます。

あの時期は、ライアンが出場できない分、野口(野口大介 21−22シーズン 長崎ヴェルガ移籍)やCJ(チャールズ・ジャクソン 21−22シーズン広島ドラゴンフライズへ移籍)のプレータイムが伸びました。

それは彼らが常日頃から準備を怠らなかった分、厳しい時期も大きな怪我の連鎖もなく乗り切れました。

そう言った点で、筋力やコンディショニングの維持など身体の準備の大切さを再確認した時期でもありました。

 

ちくわ

コンディショニングもですが、水曜ゲームもあったり土日も連戦がある中で、リカバリーが非常に重要なウエイトを占めていると考えています。

サンロッカーズ渋谷ではどのようにリカバリーに取り組まれているのかというのを教えていただいてもよろしいでしょうか。

 

吉田 

リカバリーといってもすごく特別なことをしてるわけではないですよ。

リカバリーという話でいくと、サンロッカーズ渋谷にはトレーナーが二人います。

彼/彼女らがキチンと筋肉のテンションのリリースやアクティベーション、リハビリ等の様々な手法を使って回復の促進をしてます。

栄養や水分補給等にも勿論気を使って、栄養士さんについてもらってサポートして頂いたりというところ等は常日頃チームとしてできる限りのことは取り組んでいます。

そこは恐らく他のチームと大きく差があるかといったらそんなにないと思います。

どのチームもやっていらっしゃるのではないでしょうか。

 

ちくわ
なるほど。

 

吉田

疲労のコントロールという点でいうと、一つは筋力をシーズン通してきちんと保つということ。

筋力が高ければ、プレーによる体へのストレスが減るので、試合や練習をしても疲労度が比較的に少なくなる。

つまり、疲労が少なければ回復もある程度早い。

また筋力が高ければ怪我のリスクも低減できます。

ということでシーズン中もトレーニングを継続的にやる事は重点を置いています。

あとは怪我をしないために怪我のリスクのある要素をできる限り取り除く。

疲労で一箇所の筋のテンションが高くなりすぎていたり、筋や神経系のバランスが悪くなると関節の動きも制限が出たり、リスクの高い動きになることもあります。

それを機能的にちゃんと戻しておくことによって関節にかかる負荷を減らしたり、軟部組織などにかかる負荷をうまくコントロールする必要があります。

例えば、膝の痛みやアキレス腱炎などに対して、できる限りリスク要因を排除していく。

阻害要因を見つけてできるだけプロアクティブにアプローチをして怪我のリスクを下げるようにしています。

 

 

ちくわ

先程の筋力トレーニングについてお聞きかせください

NBAですと試合が終わった後にもトレーニングをしている選手の動画が上がっています。ジェームス・ハーデン選手の動画が上がっていたりしたんですけど、そういうのも含めてサンロッカーズ渋谷さんでも試合後にもトレーニングされたりとかはされているんでしょうか。

 

吉田 

本当はしたいといころですけど、現状は環境的に難しいところもあります。

ただ試合当日は難しくても次の日の休日にプレータイムの少ない選手や、ディベロップメントの状態にある選手などがトレーニングやコンディショニングを実施しています。

リカバリーも含めて、目的に応じてプログラム変えているという状況です。

 

 

ちくわ

ありがとうございます。

チームとしては週に何回くらいトレーニングを実施されてるんでしょうか。

 

吉田 

2回はしたい所ですが、水曜ゲームが入ってしまうと、プレータイムの大目の選手はどうしても週1回とかになってしまう時期もあります・・・。

 

 

ちくわ

なかなか難しいところですよね。

 

吉田 

そうですね。

 

〜世界を見据えて・・・〜吉田 修久スポーツサイエンス&パフォーマンスディレクターPart.2

2021年7月7日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください