中川
こればかりは夢や野心がないとできない仕事だなと思います。
一生懸命頑張ってもチームの成績が悪ければ、色々なところからめちゃくちゃ文句も言われますから。
また、バスケットカウントさんの記事の中で“海外ではいつカットされるのか分らないが、日本のリーグは日本人選手は優遇されている”といったニュアンスの事が書かれていました。
そこについて、現状変わってはいませんが、今後中川さんの読みとしては変化しそうですか?
中川
どうでしょう。
純粋にNBAは目指す人数の違いがありますよね。
現在のBリーグでは日本人が日本のリーグを目指しているだけなので競争自体は少ない。
外国籍選手の枠も決まっていますし、あれで枠がなければ変わるでしょうが。
実際、20年くらい日本人選手が途中でカットされるなんて事は起こっていないんじゃないでしょうか。
シーズン中に日本人選手のカットが起こるようになれば、それは競争が激化しますから日本人選手のレベルアップには必ず繋がりますよ。
来年からアジア枠が設けられるので、正直、日本人選手の枠が1枠減ると思っています。
それも競争の一つになるのでは?
中川
僕が指導している大学でも部員が40名もいるのでもちろん競争が起こります。
チームのスローガンとしてもCompetition(競争)を掲げています。
なら尚更プロなら競争しないと!!とは思いますね。
僕みたいにケガしたらカットとか、費用対効果がない選手はどんどんカットでいいと思うんですよ。
「クビ=悪」ってイメージが強すぎませんか?
中川
でもそれは間違いで、クビになった選手は必ず上手くなるんですよ。
残っている選手も危機感を持ちますし、やらないと人生に関わってきますから。
そういうメンタリティで全選手がバスケをやらないといけないと思います。
そういった気持ちでやって欲しい選手は沢山いますけどね。
バサバサ切る感じ、怖いもの知らず感が本当に僕が学生時代の憧れでした。
“日本バスケ界の坂本竜馬“といったイメージがピッタリです。
やはり競争がないと強化にはつながらないといった所でしょうか。
中川
もちろんです。
例えるなら、馬場雄大モードで全員がやれば強くなりますよ。
馬場選手は正直今アメリカでそこまで良い数字を残せているわけではないです。
でも、アメリカであんな感じでも不思議な事に日本に帰ってきた時に確実に伸びてるんですよ。
今Gリーグで2点とか0点の日もあるじゃないですか。
でも、アメリカで必死に生き残りをかけてしがみ続けたことが、今後国内で30点40点取れるような選手になるキッカケになるんです。1シーズンだけでなく僕のように何年もNBAを目指して挑戦していってほしいですね。
中川
そうです。やっぱり飛び込まないとね。
チャレンジする重要性ですね。
中川さんは小さいころからプロになりたいと言われていたとの事ですが、そのチャレンジするモチベーションはどこからくるのでしょうか?
中川
そうですね・・・1番の理由は、小さい時ってやりたい事が何もなかったんことなんですよ。
やりたくもない事をやるのが非常に窮屈な性格だったので・・・
だからバスケが好きなのでプロバスケ選手!って言っていた部分もあります。
一般企業に就職したくないのに就職したらとても自分は続かないだろうって小学生の時点で分かってたんですよ。
双子の兄の直(中川直之さん)は九電に入社して安定を取りましたけど、鬼の残業!深夜まで数時間連続で鬼の説教!!なんかもあったみたいです。
それって絶対に望んでいることじゃないじゃないですか?
結局、10年で辞めて今の輝ける場所を手に入れていますけど、僕はそれが仕事だろって思うんですよ。
僕の場合は消去法と言っても過言ではないですが、やっぱりバスケが楽しいし、シンプルにバスケしか選択肢がなかったというのもあります。
中川
大半はそうだと思います。
バスケで色々な国を見てきたから感じるのですが、日本だったら飢え死にする事はないので、何とかなりますよ。
昔の侍は草食べてたでしょ?
僕もアメリカ時代飯を食うお金がなくてガリガリだったけど、やりたいことに夢中になれたから楽しかった。
そういった境地にいけば何とかなるんですよ。
腹くくってチャレンジすべきですね。
中川
それこそ、この前のフィリピンは行ってよかったです。
貧しいエリアも訪れましたが、そこの人々は下なんて見ず、みんなエネルギーがあって明るいんですよ。
結局、幸福度はお金じゃないんです。
やりたい事が出来ることが幸せなのかもしれないですよ。
中川
ミル(愛猫)と過ごす事ですね。
中川
そうでしょ(笑)
学生には猫好きオッサンなんて呼ばれてますよ。
学生との仲好さげな感じも伝わります。(笑)
ちなみにどういった感じで大学に就任が決まったんですか?
中川
選手を引退してからは無職です。
途中で辞めちゃったので、引退後はNOプランでした。
流石に何かしなくちゃいけないよな・・って思っていた矢先に大学側から関係者を通じて連絡があって。
その翌日に面接に行き、採用されることになりました。
中川
腹決めたら人生って動くんだな、面白いなっていうのは感じますね。
キャリアドリフトと言う言葉があるのですが、まさにそんな感じですね。
漂うまま身を任してという感じですね。
中川
その通りです。
まさに美空ひばりモード!
一番の例は三菱時代ですね。
当時のアントニオ・ラングHCに4シーズン怒られまくってたんで、見返してやろうって思って。
その時、頑張って最後は見返せて残留を打診されたんですが、あえて!そのタイミングでチームを去ったんですよ。
中川
そのあと、つくばロボッツと契約して筑波に引っ越すんですが・・・
チームが用意してくれた物件の後を振り向いたら、何か見た事がある葉っぱのマークの学校があるんですよ。
中川
そう!筑波大学!
それがのちの大学院進学に繋がったんですよ。
研究とか論文とかやった事がなかったので、選手をしながらは本当に大変でしたが、その間に手術も出来ましたし。
まあ結果として、保健体育の専修免許と修士号を取得しました。
中川
そうなんです。
全てが計算してできる事ではなくて、なのに最短でそういうチャンスが来ていて。
だから、環太平洋大学からお話があった時も全くビックリしなかったですね。
これが次にたどり着いた運命か、という感じですね。
ただバスケだけをやってきた人生がこんな風に変わっていくなんて普通は理解できないですよね。
でも計算してこうなってああなって・・・なんて考えていたらこんな人生送れていないと思うのでね。
やっぱり人生はこんな感じで、とにかく面白さ優先でいけばいいんですよ。
これはすごい・・・
最後に、今の中川さんの夢を教えてもらってもいいですか?
中川
日本バスケを強くしたい、もっと盛り上げたいという思いは変わらず持ち続けています。
今の夢はインカレを制覇、そして将来はJXを破りたい!!
カテゴリでいったら世界を取りたいですけど、まずは目の前の目標を一歩一歩ですね。
まあでも1番の夢はミルといつまでも幸せに過ごすことですかね!
(笑)
今後もミルちゃんのかわいい動画を楽しみにしています。
ありがとうございました。
日本バスケットボール学会にて・・・
先日の学会大会にて、優秀論文賞の発表がなされました。
受賞論文は以下の通りです。
中川和之・内山治樹
「エリート男子バスケットボールプレイヤーの間欠的ハイパワー発揮能力に関する研究 ―「Yo-Yo テスト」の有効性と目標値の検討― 」 (バスケットボール研究 第4号 p. 47)— 日本バスケットボール学会 (@JsbsKoho) 2019年12月24日
中川さんの論文が優秀論文賞に!!
要チェックや!!!
さいごに
サイン貰って滅茶滅茶テンション上がっております(顔見えませんがww)
あの田臥選手と一緒にロングビーチジャムでプレイしたりABAのオールスターに出場した方です。中学時代に中川さんの真似してヘアバンド着けたりかなり憧れていたのです✨ pic.twitter.com/YJXqtArrCK
— ちとせ🏀バスケバカ理学療法 (@chitooo13) 2019年12月3日
中川和之様、IPU女子バスケットボール部の皆様
インカレお疲れ様でした。
そして、インタビューの機会を頂いたことをこの場をお借りしてお礼申し上げます。